< オバケレンズ >

 

サンニッパ

メーカーが総力をあげてつくったと感じれるレンズというのはなかなかめぐり合えない。出来る絵のタッチや色合いなどが自分のフィーリングや感覚に合うかどうかが一番の問題なので、いくらカメラ雑誌評などで絶賛されていても、使ってみて「・・・ん〜...」となる場合もある。結局他人の評価やインプレなんてその人の価値観ベースでモノを言っているのでどこまで書き手を信じれるかどうかだったりする。逆に言えばある人のファンだったりすると、その人の使用してるものが全て良いモノと思えて全くリサーチ無しで買ってしまったりするのも流行りの法則で影響力はおそろしいんだけど、どっちにしたって最後に判断して決定するのは自分の価値観やフィーリング。絵だけよくてもダメだしいろんな要素があるので作る方も大変だろーけど買う方もこれまた大変なのだ。

写真・カメラ好き以外の一般ピーポーが「そのレンズっていくらくらいするの?」と何気に聞かれるので素直に答えると「え!」って驚かれるが、いわばガラスの塊に何万円、何十万円も払ったりする。でも女の人の指や首にもそれくらい、いやそれ以上の小さなモノも光ったりするからみんないっしょ。そこにそんだけの価値があると脳みそが判断してしまってからの人間の行動というものは他所からみればバカバカそのものだろうとよく思う。ほしくてほしくてどうしようもなくなってしまうのだ。「買っちまえ、買っちまえ〜」という指令と「自分、同じ焦点距離のズームあるやん・・・」という自制心が戦いはじめ、いつも敗れるのは自制心。数字が溢れるほどの通帳を持っているなら電話一本で発注すれば新品が在庫次第で手元に届くというドリームライフを営めるのだが、私は駆けずり回って中古のリサーチをしたりしてけっこうみすぼらしく買っている。でも、その過程が楽しく感じるのは中古街道やコレクター街道を歩んでいる方には理解してもらえることと思う。ジャンルは違ってもその精神は同じなのだ。

 

サンニッパはその名の通り300mmの単焦点で解放2.8の明るさを持つレンズ、計算式があるんだけどまあとにかくこの焦点距離でこの明るさになればおのずとボディはむちゃくちゃでっかくなってしまう。皆さんもレンズを買ったときに保護フィルターとか買う人もいるでしょ?そのフィルター径が100mmを楽々超えていると言えばでかさが想像できると思うが、前玉にキズなんかつけてしまった日にゃ人生で最大の落ち込み度、超ブルーに入ること間違いない、普段はフィルターはつけない私もこれにはちゃんとつけている(最初からついてるんだけどね)。

持ち出す一番最初は少し恥ずかしい。タダでさえ目立つバカでかいレンズをご丁寧に白く塗ってくれているのでとにかく目立ってしまう。撮っているとそれは「写真撮ってま〜す!」っていう主張になるので逆に都合いいこともしばしばあったりするのだけど、やっぱり最初はちょっとこっ恥ずかしい。

そして躊躇してしまう人も多いと思うその重さも圧倒的だ。とにかくずば抜けて重い。バカでかいレンズがみっちりと入っているので当然なんだけど、撮影に際しては三脚と腕力は必須のレンズかもしれない。何が一番こたえるかというと、撮影してるときじゃなくて、撮影場所まで携行する道中の後悔してしまうほどの重さなのだ。ちなみに財力はローンという素晴らしい発明があるし、なんとかなるやろ〜というケセラセラな勢いと、「これください」と言うバカになれる一瞬があればクリアできる。家に帰って隠し場所やシドロモドロな言い訳なんかの問題は時間が解決してくれるかもしれない。

いろんな苦難を乗り越えて、腕にミシミシと持っているだけで筋肉の緊張を要するこのレンズを心底愛おしい...と感じる瞬間はできあがりのポジを見た瞬間だ。(今じゃモニタですな) 圧倒的とは正にこのこと。こんだけ字を書いてもできた絵の方が一瞬で全てを伝えられる、それほど全てが圧倒的だ。根性はいったモノというのはその造り手の意気込みや誇りなども感じられてしまう、それはどんなものにもあてはまる。

 

 

 

 

 

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